2020年2月1日に開催された第130回評議員会・拡大役員会で以下の決議を全会一致で採択致しました。
決議
第201回通常国会が1月20日に開会された。今国会は、安倍首相の「桜を見る会」の私物化、公選法違反で辞任した2閣僚、IR事業をめぐる汚職事件など「疑惑国会」の様相を呈している。安倍首相は施政方針演説で、こうした数々の疑惑には一切触れず、この間の国会で重要な情報が隠ぺい、改ざんされた問題に無反省な姿勢を貫いている。
一方で、アベノミクスの成果を強調し、改憲案を示すことは「国会議員の責任」とうそぶき、改憲への執念をむき出しにした。
中東への自衛隊派遣を国会承認もないまま決定した安倍首相の国会軽視の強権的手法、そして疑惑には一切応えず改憲に固執する姿勢は、国民主権、立憲主義・民主主義を蔑ろにするものであり、断じて許すことは出来ない。
貧困と格差がますます深刻化し、不安定な就労が増える中で、国が国民に保障しなければならない教育、医療、介護などを受ける権利が、自助を強要する政策の下で脅かされている現状を一刻も早く転換しなければならない。
政府が昨年末に示した「全世代型社会保障」中間報告では、75歳以上の高齢者の2割負担が明記され、医薬品の保険はずし、受診時定額負担などは先送りになったものの、国民負担をさらに強いる施策の検討が進められている。
本来「社会保障」そのものが国の責任で赤ちゃんからお年寄りまで “全世代”の命と健康、暮らしを保障するものである。しかし、安倍政権は高齢者だけに社会保障が偏っているかのような喧伝をし、世代間の分断を煽り、国の責務を放棄する施策を押し進めている。
われわれは、患者・国民の医療費負担がもう限界にきていることを知っている。大阪府保険医協会は全国の保険医協会・医会と連携して「みんなでストップ!負担増」署名に大々的に取り組む決意である。
今年の診療報酬改定は、全体として0.46%のマイナス改定となった。2014年から4回連続のマイナス改定に対して、国民の命と健康を預かる医師として強く抗議する。
今回の改定では、「ギャンブル依存症に対して有効な治療の提供を推進する観点」からギャンブル依存症治療が保険適用される。診療報酬は、そもそも私たち医師と医療従事者の技術料に対する評価であり、患者が受ける医療の範囲と内容を決めるものである。国民の大半が反対する「カジノ」実施を進めるために診療報酬を利用することは許されない。
大阪では2015年の住民投票で“大阪市廃止NO”の意思が示されたにも関わらず、再度住民投票が強引に進められようとしている。大阪市の財源を大阪府に移し、カジノなどの大型開発を広域行政で進め、民間企業がビジネスを展開しやすい大阪にすることを目的に、市民を行政から遠ざけ、歴史ある一大都市を消滅させる“大阪市廃止”に私たちは地域医療に責任を持つ医療団体として反対する。
大阪府保険医協会は、医療機関の経営を守り、診療の質を高め、安心・安全な医療を国民に提供できるよう、医療提供体制を担保する診療報酬を求め、引き続き運動を進めていく。そして、社会保障制度拡充は平和な日本だからこそ実現できることに確信をもち、憲法と社会保障を守る運動を広範な国民の方々と進めていく決意である。
2020年2月1日
大阪府保険医協会第130回評議員会・拡大役員会